
はじめに
2025年4月に発表された「Windows 365 Link」をご存じでしょうか。
約12cm×12cm、厚さ3cmほどのコンパクトな筐体で、ファンレス仕様の静音設計が特徴です。
この Windows 365 Link は、Microsoft の VDI(仮想デスクトップ)ソリューションのひとつである Windows 365 専用デバイスとして登場しました。米国での販売価格は 349ドルと、一般的な PC と比較すると導入しやすい価格設定になっており、減価償却を気にせず利用できる点もメリットです。
本記事では Microsoft が提供する2大 DaaS(Desktop as a service)ソリューションである Windows 365 と
AVD(Azure Virtual Desktop)が、それぞれどのような場面で力を発揮するのか比べてみたいと思います。
どちらが優れていてどちらが劣っているというものではなく、利用環境に応じて、より相性がよいものを検討するのが重要です。いくつかの利用シーンを想定しながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。
※記載内容は参考情報であり、実際の構成とは異なる場合があります。詳しいお見積りをご希望の方はお気軽にお問い合わせください。
DaaS 利用シーン1
- 工場や店舗、医療機関などで従業員がたまに利用する
- メインの業務がデスクワークではなく、全員が同時に PC を使うことはないのでひとり1台の PC を用意しなくてもよい
この場合は Windows 365 がおすすめです。
特に Windows 365 Link では本体にデータが存在しませんので、受付などのパブリックなエリアに設置する場合も安心です。
AVD では | VM の起動時間が長くなるとコストが嵩んでしまいます。 |
Windows 365 では | 月額固定料金なので店舗などの長めの営業時間でも割高になる心配がありません。 |
☆ ポイント ☆
AVD では(操作感はさておき)1台の仮想マシンに最大3人まで同時接続が可能です。一方、Windows 365 Frontline では、1ライセンスにつき同時接続できるのは1人のみとなっています。
ただし、Windows 365 Frontline は1ユーザーあたりのコストを抑えられる点が特徴です。
例えば、3人で1つのクラウド PC を共有する場合は、1台の AVD を1日12時間x30日稼働させて3人で利用するよりも、Windows 365 Frontline の方が約29% 安く利用できます。

DaaS 利用シーン2
- 業務委託や派遣社員、パートタイムスタッフなど、ハードワークはしないものの、ひとり1台の PC が必要
この場合は Windows 365、AVD どちらもマッチしますが AVD の方が若干おすすめです。
AVD では | 利用状況に応じて使用しない間の VM は電源を切って従量課金を抑える事が可能です。 |
Windows 365 では | 月額固定料金のため、月に少ししか利用しなくても毎月同じ料金が掛かります。 |
☆ ポイント ☆
決まった業務時間だけ起動するなら AVD、毎月の起動時間が長めなら Windows 365、が判断材料のひとつになります。
また、管理者権限を渡して「マイPC」を構成することは Windows 365/個人用 AVD のどちらも可能です。
Windows 365 と、個人用 AVD を1日9時間x22日起動した場合を比較すると、AVD の方が約28% 安く利用できます。

DaaS 利用シーン3
- 汎用コンピューターではできない業務をリモートでしたい
この場合は AVD がおすすめです。AVD に使用される仮想マシンは用途にあわせて様々なサイズ(種類)から選択できます。
セッションホストに選択できる代表的なVMサイズは下表の通りです。
AVD では | – 汎用コンピューティング – メモリ最適化 – CPU最適化 – GPU搭載 |
Windows 365 では | – vCPU=2~16core、4~64GB RAM、128GB~1TB ストレージ – GPU対応クラウドPC(Standard、Super、Max)(2025年10月9日現在、西日本リージョンのみ) |
☆ ポイント ☆
AVD では業務内容に合わせて柔軟な VM サイズの選択が可能です。

DaaS 利用シーン4
- 中程度のワークロードを決まった時間で行う従業員が50人程度いる
この場合は AVD がおすすめです。シーン2と似ていますが Windows 365 には無い AVD の機能、「マルチセッション」を使って3台の VM を50人で共有した場合、AVD の方が約28% 安く利用できます。
AVD では | 1vCPU あたり約4人を目安に同時利用が可能 |
Windows 365 では | マルチセッション非対応 |
☆ ポイント ☆
VM リソースを複数人で共有できるため、マルチセッションはコスト効率が高いです。

まとめ
利用人数が一定以上いる場合は、AVD をよりコスト効率よく活用できます。一方で、「1人1台」のスタイルで利用したい場合は、AVD・Windows 365 のどちらも選択肢となります。
また、AVD はカスタマイズできる部分が多い反面、ある程度の技術的知識を持つ担当者が必要です。対して、Windows 365 はの自由度はAVDほど高くないものの、管理負担が少なく、導入・運用が比較的容易であるという利点があります。
本記事でご紹介した Winsows 365 と AVD の他にも、ネットワーク構成、プロファイル管理、条件付きアクセス、セキュリティ、バックアップや監視など、お客様のニーズに合わせたソリューションの追加やカスタマイズが可能です。ぜひ Livestyle にご相談ください。