Azure Communication Services のメール機能でセキュアなメール送信環境を構築

Azure Communication Services は、多機能な通信プラットフォームを提供するファーストパーティサービスです。音声やビデオ、チャット、SMS などを統合した通信プラットフォームですが、この内のメール機能を利用することで Azure 上にメール送信サービスを展開することができます。
Azure Communication Services の主な機能は以下の通りです。

  • メールの大量送信をサポート ※1
  • 検証済みのカスタムドメインからメール送信可能
  • SPF、DKIM による送信者認証のサポート
  • 配信成功の内訳を測定するメール分析機能
  • SMTP 認証によるメール送信をサポート ※2

※1 1時間当たり最大100万~200万通のメール送信がサポートされていますが、大量送信にはメールのレート制限の緩和が必要です。レート制限緩和には Microsoft社の審査があります。
※2 Entra アプリケーションのクライアントシークレットを使用します。シークレットの最長有効期限は2年のため、定期的に更新が必要です。

Azure ポータル上では「通信サービス」という名称で提供されています

ますます厳格化される、メールを取り巻く環境

昨今のフィッシングメール、迷惑メール対策は日々強化されており、受信側だけでなく送信側も正しい手順でメール送信を行うよう求められます。
特に Microsoft Exchange Online では、送信に対して以下のような変更を発表しています。

① 2025年9月 SMTP認証における基本認証の廃止

Exchange Online のクライアント送信による SMTP認証が、2025年9月にサポートされなくなります。Exchange Online では、2024年10月に全ユーザーが基本認証が行えなくなって以来、回避策として SMTP 認証を用いたメール送信が残されていましたが、それが完全にサポート終了となります。
基本認証は要求ごとにユーザー名とパスワードを送信し、それらの資格情報も、多くの場合はデバイスに保存されていることになります。単純で簡単に設定できる反面、攻撃者が資格情報を詐取するリスクがあり、盗まれた資格情報が他のサービスで再利用されてしまい、不正アクセスに繋がることもあります。
Exchange Online での SMTP認証の廃止もこのリスクを回避するためのもので、Microsoft社では、OAuth 等の先進認証への乗り換えを推奨しています。
Azure Communication Services は、SMTP認証を引き続き使用したいユーザー向けの代替手段となります。

② 2025年10月 ユーザーごとの外部受信者レート制限の導入

外部受信者宛てのメール送信が、ユーザー/メールボックスごとに24時間で2,000件までに制限されます。(2025年10月 試用版/新規テナントに適用開始、2026年4月 既存テナントに適用開始)
本来 Exchange Online では、多数の人に同じメッセージを一斉に送信する行為をサポートしておらず、リソースの適正利用のために制限が設けられます。
また、テナントレベルでも外部受信者レート制限が設けられており、上記のユーザーレベルのレート制限に加えて、テナント全体で24時間当たりの外部受信者宛てのメール送信が制限されています。

対象レート制限
ユーザー(メールボックス)2000件 / 24時間
かつ
テナント試用版テナント:ライセンス数に関わらず、5000件 / 24時間
非試用版テナント:500 * (ライセンス数 ^ 0.7) + 9500 件 / 24時間

引き続き外部に大量のメールを送信するためには、Azure Communication Services の利用をご検討ください。

Azure Communication Services の導入をお手伝いいたします

Exchange Online をご利用で、複合機等からのメール送信に SMTP認証を使用している場合や、社外に一斉通知メールを送信している場合は、Azure Communication Services のメール機能が代替手段となります。Livestyle では、Azure Communication Services の導入支援を行っております。
Exchange Online のメール送信でお困りの場合はお気軽にご相談ください。

Azure Communication Services 概算費用

※1 2025年4月1日時点の価格です。
※2 1USD = 150.99JPY 換算。為替変動により金額が変動する場合があります。

※3 詳細なヒアリングを実施後に正式なお見積りを作成するため、費用が前後する可能性があります。
※4 Azure 従量課金制のため、為替変動により金額が変動する場合があります。​
※5 Livestyle マネージドサービスのいずれかのプランへの加入が必須となります。​